神封じについて

打ち合わせの中で――

Mさん

あの、ちょっとお聞きしてもいいですか?
うちの神棚に白い紙を貼るようにって親戚から言われたんですけど、あれって何のためなんでしょうか?

浅野

はい、それは「神封じ(かみふうじ)」といって、ご家族が亡くなられた時に、神棚を隠す事です。

Mさん

神棚を隠すっていうのは…どうしてなんですか?

浅野

神道では「死」は“穢れ(けがれ)”とされていて、神様がその穢れに触れると、力が弱まると考えられているんです。
ですので、神様に穢れが及ばないようにするために、一時的に神棚を封じておく、という意味があるんですよ。

Mさん

なるほど…。でも、亡くなった人が穢れているということではないんですよね?

浅野

おっしゃる通りです。故人様が穢れているということではありません。
「穢れ」とは“気が枯れる”と書くように、生命力が失われた状態を表す言葉です。
悲しみの中にいるご遺族のお気持ちも含めて、心と空間を整える期間だと捉えていただければと思います。

Mさん

なるほど…。では実際に、神封じってどうやるものなんでしょうか?

浅野

はい、主な流れとしてはこのようになります:

  1. 神棚の前で神様にご挨拶し、誰が亡くなったのかをご報告します。
  2. お供えしてある洗米・お神酒・塩・水・榊を下げます。
  3. 神棚に扉があれば閉めます。
  4. 神棚の正面に白い半紙を貼ります。貼る際は神棚を傷つけないように、セロテープなどを使ってください。
Mさん

その白い紙には、何か意味があるんですか?

浅野

はい、あの半紙は「神様、今は穢れのある期間ですよ」とお伝えするための“しるし”なんです。
神様との間に一線を引く、いわば“区切り”の意味もあります。
ただ放置するのではなく、きちんと神封じを行うことで、気持ちにも整理がついていくんですよ。

Mさん

どのくらいの期間、白い紙を貼っておけばいいんでしょうか?

浅野

基本的には、亡くなられた日から50日間が目安です。
仏教の49日に近い考え方で、神道では50日目が一区切りとなります。
その日を過ぎたら、白い紙を外し、お供えを再開していただく形になります。

Mさん

詳しく教えてくださって、ありがとうございます。ちゃんと意味が分かると、安心できますね。

浅野

とんでもありません。大切な方を見送る中で、分からないことや不安なことがあって当然です。

どんな小さなことでも、いつでもお声がけくださいね。